赤ずきんは、おばあさんのお見舞いに、森の小さな小屋へ出向きました。しかし、そこでは既におばあさんは狼に食べられてしまった後だったのです。狼はそれだけでは飽き足らず、おばあさんに変装して赤ずきんをも食べる計画へとシフトしました。
「おばあさん、おばあさん、体の具合はどうですか」
「おお、赤ずきんや、来てくれたんだね」
「すこし、おやつれになったのではないですか、いつもと雰囲気が違うようですけれど」
「そうかえ、そう言えば少し体調が芳しくないかもしれないねぇ」
「なんと言うか、」
「なんだい、赤ずきんや」
「めっちゃ狼っぽいです」
「え」
「まんまです。服着ただけじゃん、って感じです」
「これは、アレだ。赤ずきんや」
「なんです、おばあさん」
「リアールコスプレ」
「まぁ、おばあさんってば超ヤング」
「ハリウッドのILMに頼んだのよ」
「赤ずきんったらバリ納得イング!」
「ところで、おばあさん」
「なんだい、赤ずきんや」
「おばあさんの耳は、どうしてそんなに大きいの?」
「それはね、」
「うん」
「えーと」
「どうして?おばあさん」
「遺伝」
「・・・・・・・」
「・・・・親父の」
「え?」
「親父の遺伝」
「はぁ・・・」
「それはそうと、おばあさん」
「なんだい、赤ずきん」
「おばあさんの鼻は、どうしてそんなに大きいの?」
「それはね、」
「うん」
「・・・・コンプレックス」
「え?」
「鼻大きいの、コンプレックスだから」
「はぁ」
「あんま言わないで」
「大きい鼻、可愛いじゃないですか」
「他人から見ればね。でも自分は気になるの」
「はぁ」
「それはそうと、おばあさん」
「なんだい、赤ずきん」
「おばあさんの口は、」
「(来た・・・・・)うんうん」
「どうしてそんなに大きいの?」
「それはね、」
「うん」
「お前を食べるためだーーー!!!」
「ええーー。」
「薄っ!」
「えー」
「リアクション薄っ!いいの?食べちゃうんだよ?もっと『キャー!』とかないと困るんだけど。空気的に」
「って言うか、キモい」
「え?」
「あたし、どうみても10歳前後じゃん」
「はぁ」
「食べる、とかそういう表現キモい」
「あ、いや、そういう意味じゃなくて」
「人間的に終わってるよね」
「いや、まぁ、狼なんで・・・・。」
「狼なのっ!!??」
「・・・しまった!!」
極真空手をマスターした赤ずきんにとって、狼など取るに足らない相手でした。還付無きまでに狼をボッコボコに叩きのめした赤ずきんは、狼の返り血が頭部に付着し、正真正銘の赤いずきんを被る事となりました。
一応程度に生かされた狼は、とぼとぼとその場を立ち去るしか道はありませんでした。その後ろ姿は、とても寂しいものに見えたそうです。
それから、一人で寂しく行動する様を「一匹狼」と言うようになったと言う事です。
